壁面収納付けたいけど、壁ならどこでも付けてもいいのかな?よく下地って聞くけど、どこにあるのか分からないし、壁の仕組みがわからない…。壁がどうやって作られているかわかれば、棚板DIYに挑戦できるだけどなぁ。
こんな悩みを解決します。
●棚板マスターへの道
- 壁はどのようにできているのか
- 壁に棚板を取付する時に気をつけること3選
- シーン別:必要な材料と取付方法
●記事の信頼性
丸の内二重橋ビル等の多くの著名ビル建設の施工管理を9年間従事し、社員数1万人超え企業で施工管理業務に関する社内表彰された私が紹介します。
●読者の皆さんへの前置きメッセージ
この記事を読めば、壁の構造はもちろんのこと、下地の探し方/棚板取付の基礎知識/設置場所毎の注意点が分かります。壁面収納DIYの全ての基礎になりますので必見です。
壁の仕組みがわかれば、壁棚/ブラインド取付DIYに怖いことはありません!
思いっきりDIYを楽しみましょう!
壁はどのようにできているの?
一般住宅における壁の構造はほとんど一緒です。壁の構造が分かれば、モノを取付する時に何を確認するべきなのかが分かります。これから説明することを読んで頂ければ、感覚を養うことができますよ!
以下の順番で説明していきます(用語の説明もしますので悩まず読み進めてください)。
- 下地の組立
- 石膏(せっこう)ボードの取付
- パテで平らにする
- クロスを貼る
- 穴を開ける
- 設備の取付
1.下地の組立
下地(したじ)は、「木でできた骨組み」と考えて大丈夫です。
マンションやビルは、木以外を取り扱う場合もありますが、ほとんどの戸建は木と理解しましょう。
まずは、木材で壁の骨組みを作ります。これを建方と呼びますが、一定間隔で木を建てているんだと知って頂ければOKです。これから建方の一例を紹介していきます。
両サイド太い木材を配置し、天井と床に固定していきます。これは主柱(しゅばしら)とも呼ばれ、この木材を軸に壁が作られていきます。
固定が完了したら、一本の木材(つながっていなくでもよい)を天井面と両サイドの木材にビス(ねじの別称)で固定します。下図では、Lアングル(L字の金具)でそれぞれの木材を固定していますが、ビスを斜めに打って固定するケースもあります。
横に木材を流し終わったら、等間隔に木材を建てていきます。これは、間柱(まばしら)と呼ばれ、下地となります。この間柱(主柱も含む)に棚板を固定することで大幅に強度が増しますので、棚板設置時はこれらの柱を探すことになります。
これで骨組みとなる建方は完了となりますが、壁を作る前にコンセント等の設備を設置するための仕込み作業が必要になります。これを建込(たてこみ)といいますが、やっておかないとコンセントの設置やコンセント用の配線をするのに苦労します。
所々、木に黒い四角が付いていますが、これはコンセントを付けるためのスイッチボックスです。
スイッチボックスは下地に固定されるので、位置関係を覚えておくと下地がある場所が感覚的にわかるようになります。
スイッチボックスの上に伸びている線は、配管と呼ばれる電線を入れる管です。コンセントの上には電気が流れている線があると覚えておきましょう。(戸建では配管が設置されずに、電線が直接スイッチボックスまで配線(線を通すこと)されていることの方が多いです。)
上記から安全を確保するために、コンセント直上に穴を開けたり、ビス(ねじ)を打ってはいけません!
万が一、工具やビスで電線を貫いてしまうと、感電/火災の可能性があるため、絶対に守ってください。
- 下地は一定間隔で立っている
- コンセントの近くに下地がある
- 絶対にコンセントの上に穴は開けない。ビスを打たない。
2.石膏(せっこう)ボードの取付
石膏ボードとは、石膏でできた板です。そのまんまの説明となってすみません…。
特性を説明すると、防音、防火に優れて加工しやすい板となります。
この石膏ボードを先ほど取り付けた下地にビスで固定していきます。
上図のように下地に接触していない箇所(石膏ボードのみ)が多いですが、この部分は非常にもろいです。簡単に穴が開き、ビス固定はできないことを覚えておきましょう。
しかし、棚板を取付する時に、都合よく下地に固定できるものではありませんよね?
ボードに固定するための専用材料もありますのでご安心ください。
詳細は後ほど紹介しますね。
- 石膏ボードは衝撃に弱い(もろい)。
- 石膏ボードにビス固定はできない。
- 石膏ボードにものをつける時、専用の材料を使用する必要がある。
3.パテで平らにする
モノの取付には関係ありませんが、壁の補修をする時に関係してくる工程となります。
パテは、ボード間にできた溝やビス固定したときの凹凸を埋めるための塗る材料です。色によっては補修材としても使用できます。塗ったら勝手に固まるので、塗ったら固まるまで待ちます。
表面硬化に約1時間、完全硬化までには約3時間かかるといった感じです。量にもよりますが拳1つ分の大きさの壁補修時にパテ塗った後は1時間程度で固まっていました。
固まった後、はみ出たパテを紙やすり等で擦って平らにします。
簡単に削れるので、全然力はいりません。むしろ力を入れると削りすぎて再度パテを塗ることになってしまいますのでご注意を…。
4.クロスを貼る
ついに、皆さんがよく見る壁になる工程です。
専用の「のり」を付けて壁に貼っていきます。貼付する時にヘラでクロスをなぞって空気を抜いていきます。
クロスとクロスが重なる部分は、そのまま重ねて2枚のクロスをカッター等で切ってしまいます。
この方法でも意外とクロスの間に隙間はできません!
最後に、クロスをローラーで転圧して完成です。転圧とは力強くゴシゴシと押し当てて馴染ませることを言います。
5.穴を開ける
建込の工程で紹介したコンセントを取り付けするためのスイッチボックスは、ボード取付する時に隠れてしまいます。その隠れたスイッチボックスの部分を狙ってボードに穴を開けます。
建設現場では、感覚で穴を開けているのではなく、スイッチボックスを仕込んだ場所の床に高さ〇〇mmと書いておくことで穴を開けるようにしています。
このように、先を考えた事前準備は何にでも大切ですよね。
大体、スイッチボックスの真ん中あたりに丸い穴を開けて、小さいのこぎりでスイッチボックスの穴の形に合わせて穴を整形していくことが一般的です。
コンセント用の穴を開ける順番は新築時かどうかでクロスを貼る前か後で分かれます。新築時は、仕上げ面を傷つけては引き渡すことができないので以下の順番になっていると推測します。
新築時:クロスを貼る前
DIY時:クロスを貼った後
6.設備の取付
設備とは主に、コンセントや照明用のスイッチがあります。
他には、インターホンやお風呂の湯沸かしに使用する操作パネルくらいです。
スイッチボックスの大きさはコンセントや照明スイッチをそのまま付けられるように設計されていますが、インターホン等の設備はスイッチボックスに合わないものもあります。
スイッチボックスに合わない設備は専用の取付金具がありますので、配線が出ている穴をその金具枠内に収めて設置することになります。
設置する前に電線と設備を結線して設備が動作することを確認します。動作確認が完了したら設備を壁に設置して完了となります。
設備の設置が完了すれば、みなさんが入居した時に見る部屋となるのです。
次章以降はいよいよ「取付」に焦点を当てていきます!
ものを取付する時に気を付けること3選
- 取付物の重さ
- 取付する場所
- 商品の耐荷重
1.取付物の重さ
付ける物が重いと壁が壊れてしまう可能性があります。
そんなに重いものは壁収納に置かないよ。と思うかもしれませんが
1つは軽くても数が増えると重くなり得るものもあります。
壁収納のDIYをする前に、どのくらいの重さになるかは必ず考えましょう!
壁に飾るもの、棚板の重さ等を以下にまとめましたので参考にしてください。
種類 | 重さ | 備考 |
木板 棚板 (長さ50cm×奥行20cm× 厚み1.8cm) | 0.7kg | 長さを10cm増やしたら0.13kg増えます |
書籍 | 1.5kg | 鬼滅の刃全巻で約3.5kg |
衣類 | 0.7kg (パーカージャケット)、0.3(Tシャツ)、1~2kg(ロングコート) |
書籍や衣類は数が増えると結構な重さになるので、甘く見てはいけません。
せっかく作った棚板が壁からもげないように…。
ディアウォールの場合は棚板が崩れ落ちないように…。
木板の重さは以下で計算できます。
長さ[cm] × 奥行[cm] ×厚み[cm] × 比重[g/cm3]
※比重:材質によって変化します。
DIYでよく使用される木材は以下と思いますので参考にしてください。
・杉の場合:0.38
・メルクシパイン:0.42
2.取付する場所
壁に取り付けする場所は主に2種類ありますが、耐荷重(どのくらいの重さまで耐えられるか)との
関係はそれぞれ以下となります。
壁の構成 | 耐荷重 |
石膏ボードのみ | 10kg |
石膏ボード + 下地(木材) | 100kg |
石膏ボードのみの場合、10kgが目安となります。
材質上、もろい上にビス固定ができないのでそこまでの強度は期待できません。
石膏ボードに棚板を付けたい場合は、設置場所に下地があるか確認しましょう。
下地については、ビスの長さ、材質によって耐荷重が変化するので具体的な数字を提示することは難しいです…。基本的には木材に設置することになるので、その前提で話を進めます。
100kgと記載しましたが、こちらはあくまでも目安になりますので参考値としてください。
信頼性の一つの情報として以下があります。
「けんすい棒」と呼ばれる室内で懸垂ができるような商品が販売しています。
こちらの商品の耐荷重は100kgで、下地に設置可能です。と謳われているので間違いないでしょう。
壁面収納に100kgのモノを置くケースは非常に限られると思いますので1つの指標として良いかと。
実際に、取付して、人がぶら下がっても壊れていないことを証明している動画もありますので間違いないと思います。
あとは、下地の耐荷重 > 商品の耐荷重 の傾向にあるので下地より商品の耐荷重を意識しましょう。
3.商品の耐荷重
商品とは主に、棚板の場合、ブラケット(棚受)を指します。
基本的には、商品に耐荷重が必ず記載されていますのでそちらを確認しましょう。
最近では、100均で販売されていますが、耐荷重1.5kgが多い印象です。
ここで注意しなければいけないのが、
棚 + 置くモノ < ブラケットの耐荷重
となります。
置くモノだけで1.5kgではありませんので、注意しましょう!
ブラインドを付けるときは商品の耐荷重を意識する必要はありませんので下地位置に取付することのみ意識しましょう。
シーン別:必要な材料と取付方法
棚板、ブラインド、カーテンを付けようと思う場所はほとんどの方が同じです。
家の取付する場所別に分類して、必要な材料と取付方法を確認していきましょう。
リビング等
こちらは、キッチン、子供部屋、廊下、トイレが含まれています。家の殆どがこちらに該当します。お風呂に棚板を取付しようと思う人は殆どいませんので、今回は紹介しません。
必要材料については、以下の2つのシーンで使い分けます。
- 下地に固定する時
- 石膏ボードに固定する時
1つ目の下地に固定する時ですが、コースレッドと呼ばれる木専用のビスを使用します。このビスを下地の中心に打ち込むイメージです。工具はインパクトドライバーがオススメです。手締めでは、かなりの力で押し込みながら固定する必要があるので電動工具が無いとしんどいです…。
このビスは結構長めにできているので、壁厚が薄くなる傾向にあるリビングの引き戸タイプの扉の裏側に取付する際はビスの長さを決める時に注意しましょう。
2つ目の石膏ボードに固定する時ですが、移設予定がなければ、ボードアンカーを使用します。
ボードアンカーにも色々な種類はありますが、私は金属製のものをオススメします。
※ボードアンカーは壁に大きな穴を開けるため、簡単に移動とかはできません。軽量物を飾るための棚板設置するときに、片側が下地に固定できているのであれば、無理にボードアンカーで固定する必要はありません。固定はできませんが長めのビスで代用しましょう。
窓
窓周辺に取り付けするモノはカーテンレールやブラインドと思います。
これらを取付するときに必要な材料は、コースレッドのみです。
カーテンやブラインドは意外と重い上に、人の操作で思った以上に力がかかりますので下地に固定しないと不安です。幸いにも窓枠周辺には、下地が多く設置されていますのでご安心を。
- 窓枠の内側全周は木材で囲われている。
- 窓枠の上部は縦方向に3本の下地が付いている傾向にあり。
洗面所
こちらは三面鏡が設置されている家限定になりますが、三面鏡を固定するために補強として壁の裏側に木のパネルが設置されています。三面鏡を取り外して、鏡や棚板を付けたい場合は、三面鏡さえ取り外せば、簡単に棚板と鏡を取付することができるでしょう。
こちらは木材に固定するので使用する材料はコースレッドが基本となります。IKEA等で販売されている鏡は引っ掛けて設置することが多いので、引掛け用のネジは鍋ネジを使用することになります。鍋ネジは商品に付属していないこともあるので、ホームセンター等で購入することがオススメです。
ビスの選び方については別記事で紹介します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
読んでみると意外と単純な作りだったと思います。
知っていると知らないとでは安心感が大きく異なりますから知っておいて損はないですよ!
- 壁は石膏ボードを下地に固定されている。
- モノは下地に取付することを推奨。
- 石膏ボードへの取付は10kg以下とする。
こちらの記事で、壁の構造が分かっていただけたら幸いです。
本サイトでは、棚板DIYを誰でもできるように計画、購入、加工、取付を詳しく紹介しています。
“誰でもできる”をモットーに掲載しているので是非お読みになって下さい!
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